
第17回 【新しい病相が見つかったら?】ネット心理教育 双極症
更新日:2021年1月22日
こんばんは。ネット心理教育の布団ちゃんです。
こちらのページは「サマリー」と言って、今日の内容を文章でまとめたものです。
先日の日曜日のツイキャスをお聞きいただき、ありがとうございます。
いつもサマリーは5分くらいで読めるように心がけて書いているのですが、今日はちょっと長めです。
少し休憩しながらお読み下さい。
第15回、第16回で作った症状の兆しをお手元に用意するか、思い出しておいてください
今日の本編は、ざっと我々でお話をしますが、重要なのはご自身が「自分の場合どうなのか」と考えることが大事です。
ゼミでは皆で考える時間を大切にしていますので、ご参加お待ちしております。
ゼミの詳細は後ほどまた書きます。
では本編に入ります。
まずは躁/軽躁・混合への対応をご紹介しました。
対応方法の例としてはこんなものがありますというもので、あくまでも例なので、人によって違います。対応もこの10個だけではないです。
参考までに聞いて、自分の場合はどうか? 自分の場合はこんな方法もあるかななどと考えてみてください。考えるヒントになると嬉しいです。

1. 再発なのかどうか、主治医に聞く
リストを見て再発かな?と思ったとき、または身近な人が心配しているときには医師に聞いてください。
2. 10時間睡眠を目指す
頓服が出ている場合飲んでOKなので、なるべく長く睡眠時間を確保してください。
「10時間の睡眠なんて時間がもったいない」と思うかもしれませんが、対応が間に合えば、3日か4日、長時間睡眠をとるだけで状態の悪化を防ぐことができます。
3. 活動を制限する
どの活動が本当に必要かは、訪問看護の看護師や医師、心理士と一緒に決めて下さい。仕事や約束よりも、まずは自分の健康と再発防止だということを忘れずに。
4. 活動は最大6時間にして、リラックス時間を作る
残りの時間を休む時間、何もしない時間、刺激の少ない時間にしましょう。
イメージとしては、風邪を引いたときの対応です。つまり、ベッドで休み、少しテレビを見て、外出を避けて、静かに時間を過ごして下さい。
5. 激しい運動は控える
運動は自然の抗うつ薬です。気分を上げすぎてしまうときもあります。時間が余っているように感じて、激しい運動をするのはやめましょう。運動は最小限に。
6. 刺激を制限する
クラブ、繁華街などは避けましょう。人が少ない、照明が少ない、静かな場所、くつろげる場所を確保しましょう。
7. コーヒーやエナジードリンクは避ける、アルコールも避ける
コーヒー、紅茶、コーラ、エナジードリンク(つまりカフェインなど)が入っているものを、この時期にわざわざ摂るのは避けましょう。
普段アルコールを1杯飲んでもいいなどと医師に言われている場合でも、この時期は避けましょう。
8. 出費は制限する
クレジットカードの利用も控えましょう。Amazonなどでポチってしまわないような工夫をしてください(欲しい物リストに入れるなど)。
9. 重要な決断をしない
主治医が「状態が落ち着きました」と診断するまで、重要な決断は先延ばしにしましょう。
10. もう少し上がっても大丈夫、と思わない
上がれば上がるほど、後々の崩れ方がひどくなります。
次に、うつへの対応をご紹介しました。

1. 再発なのかどうか、主治医に聞く
躁のときの対応と同じです。
リストを見て再発かな?と思ったとき、または身近な人が心配しているときには医師に聞いてください。
2. 処方された薬を継続する
薬を自己調整しないください。症状の本来の重さが見えなくなります。
3. 睡眠は最大で8時間を目指す
うつが悪化するので、過眠を避けましょう。朝活動したり、昼は寝ないようにしましょう。
4. 億劫でも活動をしてみる
日課を定め、それを行ってみましょう。
5. 運動をする
散歩やジムのトレーニング、プールなど。
6. 重要な決断は先延ばしにする
悲観や絶望の影響で決断をしてしまわないようにしましょう。うつのときの決断は、うつがさせるものです。あなたがさせるものではないです。
7. 元気づけるための精神活性物質を避ける
元気を出すための精神活性物質は、後で更にうつの気分を招きます。
8. 信頼できる人や、心理士、看護師などに話す
劣等感や悲観がみられます。それは正しいものではなく、うつによってそう見えている可能性があります。
信頼できる友人や支援者に話すと、客観的な観点からの意見が聞けます。
9. 規則正しい生活を心がける
多くのうつの患者は午後気分が良くなってきます。そうすると、就寝時間が遅くなっていき、最終的には昼夜逆転の生活になってしまいます。
昼間は活動し、夜は眠るのが一番です。
10. カウンセリングを受ける、希死念慮があれば正直に話す
重症化する前に、誰かとつながっておくようにしましょう。
いつでも連絡できる、自分の理解者であり、支援者を作っておくことが大事です。
(ヒント:保健センターや精神保健福祉センターの保健師やソーシャルワーカー、心理士、
精神の訪問看護師、かかりつけ薬剤師などなど。)

「消火器カード」を作ろう!
いままでのセッションで、躁の程度、うつの程度をリストアップしてもらいました(第15回・16回で作ったカード)。
そのリストアップした内容に対して、どうするかというのが消火器カードです。
なにかあったときに、その都度対処を考えるのではなく、予め冷静なときに考えておいたことを当事者と家族の間で確認しておきます。
「“消火器カード”と言えば医師に伝わるのか?」という質問を思想くんから頂きました。
消火器カードとは、自分の「躁とうつの取扱説明書」で、このネット心理教育が参考にしている「双極性障害の心理教育マニュアル」に基づくものです。
医師には「自分の対処法としてこういうのを考えてみたのですが‥」と伝えてみてください。
消火器カード作成のポイント
・具体的に書いておく
・感情を挟まずに出来るように、やることを書いておく
例えば躁のときに口論にばかりになっている躁のときに、「いま躁じゃない?」と言われるとムッと来ませんか? なかなか自分の躁やうつって、自覚できないものですよね。
そんなときには「躁じゃない」と言っていても、書かれた対処法を実施するようにしてください。
ご家族にも、そう対応してくれるようにと事前に情報共有しておくことが必要です。
内容に関して迷うことがあったら、主治医と相談しておくとよいでしょう。
例えば上のスライドの例からは、
「全く眠れない」という兆候があらわれたとき、
消火器カードでは、「睡眠時間が4時間以下の状態が3日以上続く場合、主治医に連絡してください」という自分への伝達事項を書いておくイメージです。
他にも
・外で鼻歌を歌っているという兆候があらわれたときは、
「テンションの上がり始めの時は運動を控えてください」
・家族に暴力を振るうとき、
「保健センター、#7119、夜間救急窓口(など)に連絡する」
・死にたいという強い気持ちがあるとき、
「臨時通院、いのちの電話、保健センター、訪問看護師に相談」
これはあくまでも例ですので、ご自身の状態に合わせて考えてみて下さい。
考えるヒントとして、
訪問看護師、かかりつけ薬剤師、心理師、保健センターなどの保健師やソーシャルワーカー、デイケアなどの担当の支援員
などの支援者を頭に入れておくと、いざというときに頼れる先が見つかるかもしれません。
頼る先については、もう一度ご紹介することになりますが、社会資源の回も見直してみて下さい。(その1、その2)

窓師の場合の消火器カードを見ていきます。
こんなことが起こったらこうしましょう、という組み合わせになっています
【赤・ピンク:躁】
・睡眠時間が減少したとき→リラックス時間を取る
・オフ会を企画しすぎるとき(オフ会を月に3回以上開く時)→オフ会は月1回などとセーブする
・知らない人に、フレンドリーに話しかける→部屋にこもる
・眠れなくて焦るのではなく朝が待てないとき、とにかく動きたいとき(早く始発の電車が動き出さないかなという気持ち)→5時まではベッドに
これらがひどくなったら主治医に相談したり、かかりつけ薬剤師に連絡することを心がけているそうです。
【水色:うつ】
・音を聞くと辛い、イライラする→静かな環境に テレビを見ない
・人と会うのが億劫→一人でこもらず、家族と対話する