第7回その1【気分安定薬-概要とガイドライン】ネット心理教育 双極症(@Zoom編)

最終更新: 1月22日

こんにちは。ネット心理教育の布団ちゃんです。


今回と次回は、気分安定薬について話します。


マニュアルでは元々は「気分安定薬」については1回の予定だったのですが、2回に増やしました。

今回は第7回その1ということで、「気分安定薬の概要」について話しました。

また第10回は「血中濃度」についてでしたので、その内容を次回に早め、「気分安定薬の注意点」と、内容を変更してお送りします。


今回のセッションの目的です。


1.双極症の治療を理解する

2.標準的な治療方法(ガイドライン)に従った気分安定薬による治療方法を理解する

3.気分安定薬服用における注意点を理解する


それでは本編に入っていきます。

まずは、双極症の治療方法には2つ有り、薬物療法心理療法が治療の柱であるという話をしました。どちらかだけでなく、両方を組み合わせることが重要です。

そして、双極症の治療には3つのターゲットがあるという話をしました。

1.躁の症状があるときに、躁を治す

2.うつの症状があるときに、うつを治す

3.躁もうつも症状がないときの、再発予防

双極症の治療では、1.躁や2.うつの、症状があるときにその症状を抑えるのがメインのようにも感じますが、実は、3.の「再発予防」を続けることが地味ですが非常に大事です。

「治ったから良くなった」と薬をやめてしまうと、再発してしまいます。


双極症の治療薬は、おおまかに言って4種類あります。

1.気分安定薬

2.(非定型)抗精神病薬

3.睡眠導入剤

4.抗うつ薬

この、上の2つ、気分安定薬と(非定型)抗精神病薬治療の中心になります。

それに対して下の2つ、睡眠導入剤と抗うつ薬は、必要に応じてオプション的に使う薬です。使っている方もいるかも知れないし、使っていない方もいるかも知れないというところです。

ということで、今回扱う「気分安定薬」には4種類あります。




1.リーマス:うつにも躁にも効く

2.デパケン:躁に対して、より強い効果がある

3.テグレトール:デパケンよりも更に強い、躁を抑える効果があるが、うつに対しては使わない

4.ラミクタール:躁ではなくてうつに使う

この表の「△」は「効かない」という意味ではなく、それを目的に使わないという意味です。

注意点として、一般的に精神のお薬では、同じ種類の薬を何種類も飲むことはせず、極力1つにします。

同じ種類の薬をいくつも組み合わせても、効果がないと言われています(例:睡眠導入剤を3種類飲むなどの処方は避ける)。

しかし「気分安定薬」に関しては、同じ気分安定薬の種類のなかから、いくつかの薬を組み合わせると、効果が増すと言われています(例:リーマスとデパケンを組み合わせて処方など)。

ですので「気分安定薬」においては、「私って、同じ種類の薬を2個も飲んでいるけど、この先生は薬出しすぎている‥?」と心配にならなくて大丈夫です。


ガイドラインには治療を進めるにあたって、例えば薬物療法であれば、どの薬を処方するのがいいのかが書かれています。

双極症の治療目的を1.うつや2.躁の治療、そして3.再発予防とに分け、それぞれを目標としたときに「効果がある確率が高い順」の薬の名前や組み合わせが書かれています。

【重要】

つまりガイドラインは医師が治療を進める上で参照するものであり、患者はこの内容や順番を暗記しなくても良いです。

それぞれの薬がそれぞれの効果によって、推奨する順番があるんだな~ということを理解していただければ大丈夫です。

次以降のスライドを見ていただいて、「あ! あのときの処方って、この目的で出していたのかも‥!」という気づきがあったら、面白いかもしれませんね。

【重要その2】

ガイドライン通りでない治療に対し、不安になりすぎないでください。

ガイドラインには、それぞれの薬の推奨する順番が書かれていますが、実際の医療の現場では機械的にそのとおりには処方されないこともあります・

例えばうつ状態への処方で、推奨されるはずのリーマスやラミクタールを処方されずに、デパケンを処方されたケースがあったとしましょう。

その背景を紐解いてみると、その患者は実は幼少期にてんかん発作を起こしたことがあり、抗てんかん薬としても使われるデパケンを過去に飲んでいたという服薬歴がありました。

医師は「過去に飲んだことのある薬であれば、そこまで大きな副作用にこまることがないかも‥!」という理由に基づいて、うつ状態にデパケンを処方した可能性もあります。

その他にも、妊娠中にはリーマスは禁忌(使ってはいけない)ので、妊娠を考えている患者には、リーマスを避けた処方をすることもあるでしょう。

医師は機械ではないので、推奨される順番に薬をただ処方するのではなく、別の要素の理由に基づいて、その順番を変えることもあるということです。

ガイドラインと違う治療を受けたとしても、「その医師はガイドラインを知らなかったのかな‥?」「間違った治療法だ!」等と不安になりすぎないでください。

その患者本人にとって「効いていること」が一番ですし、うつ状態にデパケンを処方した例のように何かその処方には理由があるかもしれません。

前置きが長くなりましたが、ガイドラインに載っている順番を見ていきましょう。

(実際の、日本うつ病学会のガイドラインのURLはこちらです。)


スライドですが、一つひとつの薬の名前を注意して読む必要はなく、ザッと見ていってくださいね。

青文字で書かれているのが気分安定薬です。


躁の症状があるときに、躁の症状を治す治療では、このスライドの内容の薬が「推奨する順番」として書かれています。

注意点としては、ラミクタールを躁状態のときに使うと、かえって気分を上げてしまうことがあるので、使わないことを推奨しますという内容が書かれています。

ラミクタールに躁を抑える効果はないということです。



次に、うつの症状があるときに、うつの症状を治す治療では、このスライドの内容の薬が「推奨する順番」として書かれています。

注意点では、三環系抗うつ薬(古いタイプの抗うつ薬)の使用は推奨されません。

また、SSRIなどの新しいタイプの抗うつ薬であったとしても、抗うつ薬それだけで使うことは推奨されず、気分安定薬などと組み合わせて使うことが勧められています。