第11回【妊娠と遺伝カウンセリング】ネット心理教育 双極症(@Zoom編)

最終更新: 1月22日

こんにちは。ネット心理教育の布団ちゃんです。

今回は、双極性障害の患者さんが妊娠・出産を考えるときに気をつける点をご紹介します。


このセッションのねらいです。

結論としては、精神科のお薬を飲んでいる方の場合は「計画的な妊娠が大切」ということです。今回はその理由をご紹介します。


次のねらいとして、妊娠に対して、考えておくべき内容を、それぞれのタイミングごとに確認していきます。

それぞれのタイミングは‥①子どもを作ろうと考えたとき、②妊娠に気づいたとき、③出産前後です。

そのときどきによって、考えておく内容が違ってきます。


では内容に入ります。



タイミングその1:「子どもを作ろうと考えたとき」には、a.夫婦で決めて、b.医師に相談し、c.薬を見直していく必要があります。

この時期に考える内容としては、遺伝についてどう捉えるのか、薬の影響を考え、切り替えておく必要があります。




まず、遺伝についてです。

双極症では、双子の研究などから「遺伝するけれども、双極症のひとの子どもが100%双極症になるわけではない」ということが分かっています。

また、双極症の遺伝に関しては、複数の遺伝子が関わっているといわれています。


遺伝については第3回の「原因と誘因」サマリーでも詳しく書かれているので、そちらももう一度ご確認ください。

サマリー:原因と誘因(無料記事)


遺伝に関してもっともっと詳しくは、note「読むネット心理教育」でも書かれていますので、どうぞよろしくお願いします。

『双極性障害(躁うつ病)とつきあうために』を読む~第1回~(有料記事)



薬に関して、奇形の不安もあると思うので、その解説をします。

「奇形」=「薬の影響!」という強いイメージを持つ方も多いかと思いますが、生まれつきの奇形の、薬に関係のない元々のリスクは5%くらいです。それに対して、薬が原因となった異常は、1%未満であると考えられています。

ですので、薬の影響について、過度に怯える必要はないです。必要な薬は医師が処方し、診ている上で、きちんと飲むほうが安全だし、大切です。


次に、精神科の薬に関わってくる内容です。

セロクエルやリスパダールなどの、比較的新しいタイプの抗精神病薬である非定型抗精神病薬では、代謝異常(メタボリックシンドロームや糖尿病)と体重増加の副作用が生じます。

そうすると、太り過ぎることによる赤ちゃんへの影響もありますので、そこをきちんと管理していくことが重要です。

妊娠中に太りすぎると妊娠中毒症、二分脊椎のような先天性奇形や早産を引き起こすとされています。



薬を飲んでいる双極性障害の患者さんが妊娠する場合、考えられるリスクを整理すると、2つのパターンに分けられます。


A:薬をやめた場合には、双極症が悪化したり、エピソードが起こってしまうリスクがあります。妊娠が分かって、急に薬を中断をすると、再発したり悪化するリスクが高まります。


B:薬をやめなかった場合には、薬によってはお腹の子どもに影響が出るリスクがあります。


さて、お腹の子供に影響が出る可能性とありますが、全ての薬をやめなくてはいけないのでしょうか。


「妊娠中にはどんな薬も飲んではいけないの?」という疑問がある方もいらっしゃるかもしれません。

実は、妊娠中の使用が、比較的安全な薬もあります。

解熱鎮痛薬でいうと、ロキソニンは飲まないほうがいいとされていますが、カロナール(タイレノール:アセトアミノフェン)はOKといわれています。


つまり、妊娠中だからといって、全ての薬を我慢する必要はないのです。

精神科の薬も同じことがいえます。

我慢せずに安全とさせる薬を飲むことが大切です。


そのためには・奇形を引き起こす可能性の低い薬に買えていく必要があります。

しかし薬によっては、始めるとき少しの量から始めなくてはいけなかったりするので時間が掛かったりもします。

ですので、妊娠前から、妊娠に向けた薬にしていくことが大切です。


どのような薬に切り替えていくかというと、ラミクタールや抗精神病薬などへの切り替えが多いです。

また、葉酸という栄養を摂取することで、赤ちゃんの奇形の確立を下げることもできます。葉酸サプリは、双極性障害でない妊婦さんも飲みます。



次に、タイミングその2「妊娠に気づいたとき」には、そのタイミングでもう一度、a.夫婦で話しあい、b.医師に相談し、c.薬を確認、場合によっては見直していく必要があります。

この時期に考える内容は、飲む種類の見直しです。影響のある薬を飲んでいた場合には、切り替えが必要です。


それから、薬を飲む時期によっても影響の仕方が違うので、その点を次のスライドでみていきましょう。



この図は、精神科の薬に限らず、薬全体が妊娠中に赤ちゃんにどのような影響を与えるかの図です。

なかでも重要な時期である「妊娠2ヶ月」(妊娠4週から7週末まで)について解説していきます。この時期は、赤ちゃんの脳や神経、心臓、胃腸、手足などの重要な臓器が形成される大事な時期です。

薬は、治療上不可欠なものに限って使い、赤ちゃんにとって、奇形を引き起こす可能性が低い薬を選ぶことが必要です。自分の判断で薬を飲まないで、早めに医師や薬剤師に相談してください。

しかし、このあたりまでは、本人も妊娠に気づかないことも多いです。

ですので、この時点で妊娠に気付くには、計画的な妊娠が必要です。そうすると、妊娠希望の時点で、薬を調整していくことができます。



タイミングその3「出産前後」は、母乳か人工乳かを考える時期です。


再発のリスクが最も高い時期は、妊娠中ではなく出産直後です。エストロゲンというホルモンの低下によって、躁またはうつエピソードが見られます。

出産後は、早めに治療を再開することが大切です。


このときに考えるのが、母乳か人工乳かについてです。

お母さんが薬を飲むと、薬の種類によってはその成分を赤ちゃんが飲むことになってしまいます。

その一方で、赤ちゃんが産まれたばかりのお母さんの最初のお乳(初乳)に含まれる成分には、免疫を強くするなどのメリットもあります。この点は、産婦人科医の考え方にもよると思うので、相談してみてください。


私の考えとしては、いまは母乳に近い成分の人工乳の開発が進んでいるので、母乳に