​双極症における
心理教育の有効性

まず、❶ 半年にわたる全21回の講義 の重要性を説明します

Van GentとZwart(1991)は、心理教育を受けた患者と、通常の診療のみを受けた患者を比較する研究を行いました。

心理教育を受けたグループは、疫病や薬物治療に関する知識を得て、社会技能の向上が見られたが、規則的な服薬に関しては効果がなかった。その後の追加研究 (Van Gent, 2000)では、心理教育を受けたグループでは入院例がコントロール群より有意に少なかった。

出典元:双極性障害の心理教育マニュアル(Colomら)

とある通り、心理教育を受けたグループには、

社会技能の向上」と「入院例の減少」の効果が得られましたが、

規則的な服薬」に関しては効果がありませんでした。

これは、患者が服薬の重要性を理解しきれていないということであり、

アドヒアランスの水準は低いままであった、ということです

​アドヒアランス:医師が一方的に治療を行うのではなく、患者も理解して、積極的に治療に参加すること。

相互理解

しかし、同じ手法を用いたClarkin(1998)による研究では、

よいアドヒアランスが得られました。その差異はなんだったのでしょうか。

しかし、同じ手法を用いた研究 (Clarkin et al., 1998)では、対照的に、よいアドヒアランスが得られたことが報告された。

この二つの報告の違いは介入期間で、オランダグループは5セッション、Clarkinの研究では 11ヶ月間の治療であった。すなわち心理教育といっても短すぎると良好な効果が得られないことが示されている。

出典元:双極性障害の心理教育マニュアル(Colomら)

​※オランダグループ:上の枠のVan Gentの心理教育を受けた患者のグループ

とあるように、

患者がしっかりと双極症への知識や薬物治療の必要性などを理解し、アドヒアランスを高めるには、短期間の心理教育では不十分だということです。

そのため、ネット心理教育では、参加者のアドヒアランスをより高めるために、ただ情報を提供するだけでなく、半年にわたる全21回の講義を設けています。

次に、

​❷ 集団で学習すること の重要性 を説明します。

 

まず比較対象として、

個人で心理教育を行ったPerryら (1999)が行なった研究を紹介します。

 7~12回と幅をもたせたセッションを行い、その間に治療者はしっかりした心理教育アプローチを行なって、患者が症状再発の兆候を理解できるように援助した。その結果、再発に至った例でも治療群 (N=34)はコントロール群(N=35)と比較して、再発率が低かった。しかし、うつ病相を予防する効果は得られなかった。

出典元:双極性障害の心理教育マニュアル(Colomら)

この個人で行う心理教育においては、

「再発率の低下」は効果として、同じくみられましたが、

うつ病相の予防」という、効果は得られませんでした。

うつ病相の予防には何が効果として得られるのでしょうか。

著者らのグループ(Colom et al.,2003)が行なった研究では、「躁」「うつ」の両病相に対する予防、入院日数の短縮に対して、心理教育が有効であった。

出典元:双極性障害の心理教育マニュアル(Colomら)

とありますが、Colom(2003)の研究の最大の特徴は、集団心理教育を行ったことです。

集団で取り組むことで、双極症と共に生きることに対する孤独感が減り、そして参加者同士での相互学習・相互支援のある環境が「うつ病相の予防」へ繋がったのではないでしょうか。

よって、全21回にわたり、集団で心理教育に参加することは、薬物療法のみの治療や、個人で心理教育を行うよりも高い治療効果が期待できるのです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは皆さん、ネット心理教育でともに学びましょう。

ご参加お待ちしています。

ネット心理教育では、『双極性障害の心理教育マニュアル(Colomら)』に基づいて講義行っています。

このプログラムにおける特徴は、

1人で学習するのではなく、「集団で学ぶ」こと、そして「全21回の講義」を設け、約半年にわたって進行していくことです。

心理教育プログラムを行うことによって再発率は有意に低下することが120人の双極性障害の患者を対象に2年間の追跡を行った研究によって示されている。(Colomら、2003)

出典元:双極性障害の心理教育マニュアル(Colomら)

とあるように、

同プログラムを受けた双極症患者の再発率が大いに低下することが、上記の研究で分かっています。

研究結果を示すグラフがこちらです。↓

%25E3%2582%25B9%25E3%2582%25AF%25E3%2583

比較すると、寛解状態が続いた患者の割合は、

※心理教育を受けたグループ:❶ 

 心理教育を受けていないグループ:❷

半年後

❶約55%

❷約35% 

1年後

❶約45%

❷約20%

2年後

❶約35%

❷約10%

となり、心理教育を受けたグループの方が、寛解状態が長く保たれていることが明確にわかります。この結果は統計学的にも信頼性の高いものでした。

​このように、心理教育は双極症への治療に極めて有効性が高いと言えます。

このマニュアルの特徴である、

❶ 半年にわたる全21回の講義、❷ 1人ではなく集団で学習すること 

の重要性について、もっと詳しく知りたい方は、続きを読んでください。